君と夢見るエクスプレス

一夜明けた日曜日。



嘘をついた罪悪感は消えたけど、消えた跡にぽっかり穴が空いているなんだかスッキリしなくて、用も無いのに家を出た。



彼との約束もないし、予定もない。
どこに行こうかと考えながら、自然と足は駅へと向かってる。



とりあえず家を出る前に、美波にメールを送信した。
『もし時間空いてたら会えない?』と。



ゆっくり歩いて駅に着いたけど、美波から返事はない。ぼーっと返事を待ってるのも退屈だから、ちょうど到着した電車に乗り込んだ。



当ての無い旅というのは学生の時以来かも。



授業もバイトも無い日に、ぷらりと駅に向かって、ホームに入ってきた電車に乗った。車窓からの景色を眺めながら、気が向いた駅で降りて散策して。



つい調子に乗って、ずいぶん遠くまで行ってしまったこともあったけど懐かしい思い出。



今日気が向いて降りた駅は、茜口だった。本当は、もっと遠くまで行くつもりだったのに近過ぎる。



それよりも、どうして来ちゃったんだろう。



もし彼に会ったら、何と思われる?





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