君と夢見るエクスプレス

短く整えられた黒髪、きりりとした眉と綺麗な鼻筋が男らしい。どちらかというと体育会系。私の好みとは少し違うけど、悪くないと思う。



付け加えるとしたら身長。
座っているからわからないけれど、あの容姿で背が高いなら言うことない。



やがて、軽やかなメロディーと共に流れてくる車内アナウンス。



『次の停車駅は、宮代(みやしろ)』



彼が目を見開いた。
大きくて強い輝きを宿した瞳に、ドキッとさせられる。目が合った訳じゃないのに、胸を突き刺されるような感覚。



きっと眼力があるとは、こういう目のことを差すのだろう。



すくっと立ち上がった彼は意外と長身。
彼も私と同じ駅で降りるらしい。
前に立っていた人たちを危なげなくかわして、ドアの傍に居る女子高生たちの方へと向かっていく。



彼を追いながら、私は本を閉じてバッグの中へと押し込んだ。



ブレーキが掛かり始めた車体が前のめりになり、乗客の体勢が緩やかに傾き始める。



いつの間にか、彼は女子高生たちの前に立っていた。



女子高生たちは彼を見上げて、何事かと言いたげな顔。明らかに戸惑っている様子だ。



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