間違いからはじまる


「なに、…これ」



胸からお腹にかけて無数の赤い花が咲いている。これは湿疹なんかじゃない。間違いなく都築がつけたキスマークだろう。一体どういうつもり?



しかしこれで分かった。無数の証拠を目の当たりにして昨日はやはりそういう行為が行われていたのだということに…。



しかし恋人でもない女の体にこんなに痕をつけるなんてあの男は何を考えてるんだ。きっと恐ろしい性癖を持っているのかも。おー怖い。



私はアイツの匂いがついたであろう体をいつもより念入りに洗った。



そして風呂上がりの一杯を飲もうとビールを取り出した所で、スマホが盛大に鳴り響いたのだ。



今ごろ誰だろう?



ディスプレイには私が登録した覚えがない都築の名前。なんでアイツの番号が登録されてるわけ?



まさかこれも全部あの男の仕業?私は恐ろしくなり電話を無視し続けた。



次の日の朝はとにかく夢見が悪かった。ずっと夢の中でも電話が鳴り続け追われる夢。なにもかもアイツのせいだ。
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