間違いからはじまる
重い体を引きずり出社した私は、エレベーター前でまんまと都築に囚われ非常階段に引きずり込まれた。
壁に私を追い詰め逃げられないようにして上から私を見下ろす。
「無視するなんていい度胸だ」
「電話に出る理由なんてないし」
「おかしいな。理由ならココに刻みつけておいたはずだけど」
都築の左手が胸の下からお腹にかけてをスッとなぞる。不意に触れられビクッと反応してしまった自分が悔しくて都築を睨み付けた。
「アンタ、あんな事して頭おかしいんじゃないの?」
「んー…おかしいな。普通はあれでみんな大喜びするはずなんだけど」
「それはアンタを好きな女の場合でしょうが!」
「ま、いいさ。これからも宜しくな。片瀬」
そして一瞬の間にこめかみにキスをすると颯爽と去って行った。
なんなんだ!?あの男は。都築ってあんなに軽い男だったのか?なんせ今まで接点も無かったタダの同期だっただけにこのギャップの激しさに目眩がする。