アイツ限定


あたしは、明日香の右手首をつかんで、廊下へと引っ張った。

明日香は、ごめんごめんっと小さくつぶやきながら、あたしについてくる。



誰もいない、空き教室まで引っ張り、キッと明日香をあたしは睨む。



「も~ごめんてぇ~…悪気はなかったんだって……。

で、どうだったの?付き合うことになったの?」



明日香は、ニヤニヤしながら、あたしを見てくる。

本当にこいつは反省してるんだか……。



「まぁ、付き合うことになったよ。」



「キャーっ!よかったね、マリ!私本当に嬉しいよ!……でさ……話変わるんだけど……。」



明日香は、笑顔から少し、曇った顔へとコロッと表情を変えた。



「何?」



あたしは傍にあった机にもたれかかりながら、そういう。



「今朝の、千夏と村上君のことなんだけどさ……。」



今朝の……ああ、そうだった。

すっかり忘れてた。



「何かあったわけ?」



多分、偶然なんじゃないかと思ってるんだけど、ちがうのか?



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