ヤンデレなら、病んで下さい!

「『ヤンデレ』って言うのはここまでにして、今からはいつもの俺だよ」

「紫暮さんっ」

飛び付けば、当然のように支えられる。

鼻水ずびずびでも、紫暮さんは気にせず抱き寄せてくれた。

「怖かった?」

「はい!ーーでも、嫌いじゃないですっ」

「拘束されるの好きなんだ」

「ち、ちがっ、そうじゃなくて!」

目と目を合わす。
なに?と最後まで聞いてくれる優しい瞳に、言う。

「紫暮さんが怖いことしても、好きのままでいます。嫌わないです、絶対に。何があっても」

「その言葉、忘れないでよ。ついで、これも覚えていてほしい」

涙目にキスしたあと、紫暮さんのテノールが耳に通される。

「俺も、雛を嫌わない。安心してくれ、何があっても好きだから。浮気されても、別れたいって言われても、好きだよ」

「う、浮気なんてっ」

「分かっているよ、しないって。仮にもの話だけど、ああ、うん」

改めて向き合う彼。私の姿しか見えていないような眼差しに引き込まれてしまいそう。

「俺、雛に嘘はつかないけど、隠し事なら山ほどあるような人間だから」

どうしてその言葉が繋がるんだろうと、首を傾げる。見越した彼は、肩を震わし笑う。

「こんな俺でも雛は嫌わないって分かったから、これからは隠し事も減っていくかな」

何だろう、笑っているのに。すっごく爽やかな笑顔なのに、寒気が。

「今日だけじゃなく、しばらくはここで生活だね」

「ど、どういう」

「『ヤンデレ』とかよく分からないもので俺の愛情を分類されたくないけど、雛の許しも貰ったから、色々なことをやらせてもらうよ。時間をかけて、たっぷりと、ね」


かくして、私のプチ監禁生活が始まった。


< 29 / 35 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop