ヤンデレなら、病んで下さい!
「『ヤンデレ』って言うのはここまでにして、今からはいつもの俺だよ」
「紫暮さんっ」
飛び付けば、当然のように支えられる。
鼻水ずびずびでも、紫暮さんは気にせず抱き寄せてくれた。
「怖かった?」
「はい!ーーでも、嫌いじゃないですっ」
「拘束されるの好きなんだ」
「ち、ちがっ、そうじゃなくて!」
目と目を合わす。
なに?と最後まで聞いてくれる優しい瞳に、言う。
「紫暮さんが怖いことしても、好きのままでいます。嫌わないです、絶対に。何があっても」
「その言葉、忘れないでよ。ついで、これも覚えていてほしい」
涙目にキスしたあと、紫暮さんのテノールが耳に通される。
「俺も、雛を嫌わない。安心してくれ、何があっても好きだから。浮気されても、別れたいって言われても、好きだよ」
「う、浮気なんてっ」
「分かっているよ、しないって。仮にもの話だけど、ああ、うん」
改めて向き合う彼。私の姿しか見えていないような眼差しに引き込まれてしまいそう。
「俺、雛に嘘はつかないけど、隠し事なら山ほどあるような人間だから」
どうしてその言葉が繋がるんだろうと、首を傾げる。見越した彼は、肩を震わし笑う。
「こんな俺でも雛は嫌わないって分かったから、これからは隠し事も減っていくかな」
何だろう、笑っているのに。すっごく爽やかな笑顔なのに、寒気が。
「今日だけじゃなく、しばらくはここで生活だね」
「ど、どういう」
「『ヤンデレ』とかよく分からないもので俺の愛情を分類されたくないけど、雛の許しも貰ったから、色々なことをやらせてもらうよ。時間をかけて、たっぷりと、ね」
かくして、私のプチ監禁生活が始まった。