ヤンデレなら、病んで下さい!

「断った後に、男が立ち直れないような言葉をぶつけて、周りに知らしめるのよ!『流されない女』『鉄壁の女』『難攻不落の女』に生まれ変わるの!」

「ど、どうすればそんなこと」

「そうね、まずはお手本としてーー」

すくっ、と立ち上がった紅葉ちゃん。
所作一つ一つが女性らしい。幼なじみでもあるし、私の憧れでもある紅葉ちゃんは。

「人の足、ジロジロ見ないでくれる?砂漠化進んでいる頭を踏まれたいわけ?」

なんて、隣でコーヒーを飲んでいたサラリーマンに言ったーーって!

「も、もも、紅葉ちゃん!?」

「分かった?こんな感じで、相手に拒絶を示して、最後にそいつが気にしているようなことを言ってやればいいのよ」

「だ、だからって、し、知らない人に、すみ、すみまっ」

「謝らなくていいわよ、雛。むしろあのおっさんは、踏まれて喜ぶ派。目を見て分かったわ。今のあたしの罵りに、今すぐトイレに行かなきゃいけない状態なんだから」

え、と言う前に、サラリーマンはそそくさと行ってしまった。何だか身を縮こませて行ったし、やっぱり傷ついたんじゃ……

「紅葉ちゃん、今のは流石に」

「そうね。いきなりこの断り方は難しいかもしれないわね。もうしかしたら、もっと危ない趣味の奴が釣れるかもしれないし。ーーとりあえず、断ることから練習してみましょう」

かくして、私の『脱、どんくさ天然』が始まった。

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