極道一家のマヤ
透哉の手を引き、社家の屋敷へ戻ろうと歩き出したときだった。
「マヤ!」
誰かに背後から名前を呼ばれる。
同時にバタバタと駆け寄って来る足音……
「杏奈……」
振り返った視線の先には……杏奈がいた。
帰りのホームルームが終わったのだろう。それで校門にいた私を追ってきたのだろうか。
「待ちなさいよ、マヤ」
こちらに走り寄って来るなり、どこかへ行こうとする私の手を杏奈がつかむ。
「どこに行くつもり?急に教室飛び出して……龍にもひとりにはなるなって言われてるじゃん!」
杏奈……心配して来てくれたんだ……
「その人は……誰なの?」
友人の視線が、私の隣にいる人物へと向けられる。