恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
異動して1ヶ月と少し、寛とのことがあって約2ヶ月。

8月も終盤、暑い夜だった。


この日、私は郊外の役所を回る用事があり、帰社したのは19時だった。
オフィスにはめずらしく誰もいなかった。
外出中なのか、帰ってしまったのか。
普段は何人か営業が残業している時刻なのに。

何となく、そのオフィスで仕事をする気になれなかった。
冷房はとっくに切られていたし、今からつけても、冷えるまでに時間がかかる。
もう今日は帰ってしまおうか。

どっちみち上司のチェックがないと次の段階に行けない仕事ばかりだし。

私は置いたばかりのバッグから財布やポーチを通勤バッグに移した。


会社の古いビルを出て、大通りを歩く。
ふと、路地に入ろうか迷う。
しばらくこの路地を使っていない。

以前、つけられたようなこともあったし、最近は帰宅がずっと遅かったから用心して使わなかった。

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