恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
でも、今日はまだ19時過ぎ。
夏の夕方は長く、外はまだ薄暗い程度だ。

いいか、あれから日も経ってるし、大丈夫だろう。


私は安易に路地へと足を踏み入れた。

ひとつ目の自販機の横を通り過ぎた時だ。
真後ろから肩をつかまれた。

ほとんど気配を感じなかったから、私は死ぬほど驚いた。
そして、その手の力が親愛をこめたものではないとわかった瞬間、私は全力で追跡者の手を叩き落とした。

距離をとって、向き直る私の目に、追跡者の全身が映る。


「あんた……幾郎……!?」


「久しぶりだね、琴。そんなに勢いよく逃げるなよ」


目の前に大原幾郎がいた。

2ヶ月前に別れた元恋人。
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