恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「おまえ、うちの嫁に俺たちの関係バラしただろう?」


「は!?」


突如ぶつけられた身に覚えのない質問。
何を言い出したのだろう、この男は。


「俺たちが食事してるところや、ホテル入るところを写真に撮って、嫁に送りつけただろう。おかげで、嫁はお腹の子と一緒に実家に戻っちまった」


「私のわけないでしょう?」


「おまえ以外誰がいるんだよ!?」


幾郎は窪んだ目を見開き怒鳴った。

白目が異常に充血している。
怒声も甲高く、とても、彼が正気でいるとは思えなかった。

しかし、言いがかりに耳を貸す気はない。


「私から別れたのに、なんでそんなことするのよ!」


「うるさいッ!おまえは寂しい女だからな!俺の幸せな家庭が羨ましくなったんだ!壊したくなったんだ!写真なんか撮らせやがってこのやろう!!」


最早、妄想だ。
幾郎は誰かにこの責任を転嫁しないと気が済まないらしい。

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