恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「バカみたい。話にならない。私じゃないから、もう行って」


「おまえにはわからないだろうな!俺がどんなに妻を愛していたか!どんなに大事に想っていたか!
おまえがあんなことしたせいで、俺は産まれる子の顔さえ見せてもらえず、離婚されるんだぞ!!」


このバカ男。
自分の責任は無視?
そもそも、あんたが始めた浮気じゃない?

私は腹の底から怒りが沸いてきた。

安田の顔が浮かんだ。
浮気しておいて、寛に愛と未来を乞うた安田。


「そんなに大事なら……」


私は震える声で言った。
怒りで声が震えるなんて初めてだった。


「そんなに大事な女なら、なんで裏切ったんだよ!!なんで、浮気なんかしたんだよ!!あんたの現状は罪の等価交換だ!無くしたものを思って好きなだけ泣けばいい!!」


その言葉はそっくり私にも返るようだった。
私もまた等価交換なのだ。
バカな恋の代償に寛との友情を失った。
< 116 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop