恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛は冷えた声で言い、地面で唸る幾郎の右手をつかみ、その手を後ろに回し、自分の膝を幾郎の背にめり込ませた。


寛だった。

私を助けてくれたのは伊川寛だった。


私は上半身を何とか起こし、目の前の光景を驚きを持って見つめる。


「はっ離せ!訴えてやるぞ!」


幾郎が悲鳴のように叫ぶ。
寛は動じない。


「一般人でも現行犯逮捕ができるって知ってます?今の状況じゃ、あなたの方が傷害罪になりそうですけど」


「俺は正当防衛だ!あの女が先に俺を殺そうと飛びかかってきたんだ!」


「んなワケあるかい。あのさ、俺は優しいんで、そういう嘘は見逃してやってもいいんですよ。
選択肢を三つ用意するんで選んでください。
①とりあえず通報
②俺にこのまま肩外されて病院
③逃げ帰って金輪際彼女には近付かない」
< 118 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop