恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛はたぶん聞いていただろうな。

幾郎とのやりとりを。
そうでもなければ、あんなタイミングで助けに入れない。

私はふうとひとつ嘆息した。
そして言う。


「私、2ヶ月前まで、あいつの浮気相手だった」


「……うん、聞こえてた」


「写真とか、あいつが言うことは身に覚えがないけど………このトラブルは自業自得だね」


「だからって暴力振るっていい法はないだろ。ましてや、濡れ衣でさ」


私は自嘲的に笑う。


「ホントは安田のことも責める資格ない」


「未衣奈の話は……、もうやめとこうぜ」


寛が苦笑いした。


「寛、ありがとうね。偶然?」


「おまえと帰るタイミングが一緒だったのは偶然。でも、あの男はここ最近何度か見かけてた」


「え?」
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