恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「ちょうどこの19時から21時くらいの時間帯に。向かいのビルの影で、うちの会社を見てるヤツがいるから、もしかして前、琴を追いかけた変質者かもと思って。
知り合いなのかと様子見てたら、助けに入るのが遅れた。ごめん」


「大丈夫。転ばされただけだから」


あらためて、ぞっとした。
幾郎は一体何度、私の帰宅を狙っていたんだろう。
遅い帰宅と表通りを使っていたことで、難を逃れていたようだ。
寛が助けに入ってくれなかったらと思うと本当に恐ろしい。


「俺が証言すれば、立派にストーカーだからさ。警察行くなら付き合うけど」


「いいや。気の小さい男だし、寛に脅かされたら、もう何もできないよ。次につけられたりしたら考えるから」


私は打った右肩を擦りながら、鞄を拾う。

寛が私を気遣うように、鞄を取り上げた。


「送る。これは、決定事項」


「ん。お願いする」


私は素直に頷いた。





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