恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「琴」


少し遅れて寛がやってきた。

ビールのジョッキをあわせ、私は寛が持ち出す本題を待った。
どんな内容かは想像がついている。


「辞令、知ってるよな。俺の出向」


「うん」


私は頷いた。

寛は短く黙る。
それから、意を決したように顔を上げた。


「着いてきてくれないか?」


「……それは奥さんとしてってこと?」


「一応、プロポーズのつもりでいる」


やっぱり。

私は心中呟いた。
想像していた、こんなやりとり。

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