恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛が悔しそうに顔を歪める。


「琴は、何を考えてる?俺と親友関係に戻れればそれでいいのか?」


「うん、それが理想」


「それは、俺が努力すればどうにかなるのか?気持ちを封じ込めて、おまえのイイ友達に戻れば、おまえはまた笑ってくれんのか?」


「無理だよ。二度も寝ちゃって、友情なんて言えない。私が欲しいものはもう手に入らないの。だから、寛と離れるのもいいかもしれない」


「俺がいなくなるのは駄目だって言った。あれは嘘か?」


「嘘じゃない。寛のことは今でも大事だよ。離れたら、ツライのは目に見えてる。でも、離れたいとも思う」



次の瞬間、

寛がどんとテーブルを叩いた。


そんな乱暴な所作、初めてだった。

私は驚いて寛を見つめる。


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