恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「じゃあな、琴」
寛は通いなれた赤提灯には入らず、駅に向かい歩き出す。
「じゃあね、寛」
私はその背に手を振る。
そうして、私たちはお別れをした。
寛の背が雑踏に見えなくなり、私はひとり赤提灯に入った。
おじちゃんは私の涙を見ただろうけれど、何も言わず、いつもの生ビールを出してくれた。
「あのね、今日は送別会だったの」
私はやけに陽気に言った。
「しばらくは、私だけだけど、このお店は絶対通い続けるからね」
私の空元気なんてバレバレだ。
おじちゃんはやはり何も言わず、味噌煮込みを私の前に置いた。
大好きなモツの味噌煮込みは、ほろほろに柔らかく、味が染みていて、
とにかく泣けてしょうがなかった。
寛は通いなれた赤提灯には入らず、駅に向かい歩き出す。
「じゃあね、寛」
私はその背に手を振る。
そうして、私たちはお別れをした。
寛の背が雑踏に見えなくなり、私はひとり赤提灯に入った。
おじちゃんは私の涙を見ただろうけれど、何も言わず、いつもの生ビールを出してくれた。
「あのね、今日は送別会だったの」
私はやけに陽気に言った。
「しばらくは、私だけだけど、このお店は絶対通い続けるからね」
私の空元気なんてバレバレだ。
おじちゃんはやはり何も言わず、味噌煮込みを私の前に置いた。
大好きなモツの味噌煮込みは、ほろほろに柔らかく、味が染みていて、
とにかく泣けてしょうがなかった。