恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
エピローグ



香港島の中環と呼ばれる地域に香港支社はあり、寛の住むマンションも近くにある。
知識では知っていたが、来るのは初めてだ。

空港からタクシーでホテルに向かい、そこから路面電車を使い、観光客丸出しでアナログに地図を広げながら到着したのは、現地時間で17時。
寛は結構立派な高層マンションに住んでいるようだ。

エントランスには入れなかったので、外で待つ。
ちょっと、不審者みたいだけれど、構わない。


一時間ほど待った。
街に華やかな灯がともる頃、寛が姿を現した。


「琴……?」


私の顔を見て驚いている。
それはそうだろう。
私は来ることを告げていない。


「久しぶり」
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