恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛が私に向かい駆け寄ってくる。


「おいおい、本当に久しぶりだよ」


丸二年半ぶりの再会だった。
寛がこちらに出向して以来、たまの帰国の時すら私たちは会っていない。

月に一度程度、メールで連絡を取り合うくらいだった。


「なんだよ、来るなら言えよ」


「サプライズ、サプライズ。彼女とかいたらまずいから、物陰に隠れようかとも思ったんだけど、物陰ナイし」


寛が笑う。


「で、何しに来たの?」


「観光?有休溜まりすぎて、総務に怒られたから」


「へー」


「ついでに、寛の帰国が決まったらしいから荷造りを手伝いに」


私がしれっと答えると、寛もどうってことなさそうに頷いた。
< 164 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop