恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
寛はタクシーを止めようとしている。
私はその横で通りを眺めた。
異国の夜はドキドキする。
空気がふわふわと軽い。


「なあ、琴」


なかなか通りかからないタクシーを待ちながら、寛が言った。


「とりあえず、ホテルはキャンセルしておけば?」


「やだよ。泊まるとこのグレード下げるなんて」


「うん、まあ。俺んちだから、グレードは下がるな」


私は横の寛を見上げた。
しばらく見ないうちに精悍さが増した顔。
格好良いなぁなんて思う。


「それって告白?」


「さっきのおまえの告白の返し」


「私のは告白じゃないけど。フツーに聞いただけだけど」

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