恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
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鉄道会社の仕事は佳境だった。

すでにいくつかの納品は終わり、食堂車の内装関係と、スイートルームのリネンが残った。
最後にして一番の仕事だ。

6人体制のチームは自然と半分に別れた。

寛と峰くん、事務の大川さんのチーム。

私と越谷さん、事務の原西さんのチーム。

私と寛が別々になったのも、また自然の成り行きで、私たちの不仲を誰が知ることもなかった。


実際、寛とは表面上何事もなかったように接している。
少なくとも私はそう努力している。

寛がどう思っているかはわからないとして。


私たちの関係が今までどおりなら、こんな状態にはならなかっただろう。

「あんた、ホントバカ」とでも罵って、そこからは友人に戻ったはずだ。

安田みたいな二股女との結婚は反対し続けただろうけれど、何かしら理解を示そうとはしたはずだ。


でも、今の私はそんな賢い友人になれない。

寛と寝てしまったから。

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