恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「すいません、目あけたまま寝てました」


「器用。目が乾いたでしょ。目薬さしなさい」


越谷さんは私の前にまとめた資料をどさりと置く。
それぞれクライアントへの提出資料を作って、互いにダブルチェックしようって言っていたのに。

私はくだらない考え事のせいでさっぱり進んでいない。


「スミマセン。私の方、まだかかりそうで」


「そうみたいだね。上杉、今日はもう帰ったら?」


私は優しい越谷さんを怒らせたかと、慌てて顔をあげた。

しかし、彼は苦笑いしているだけだ。


「最近、すごくしんどそう。たまには早く帰って、早く寝な。20代のピチピチお肌を取り戻しておいで」


彼に美容のことを言われると、嫌味じゃなくて、女性の先輩から言われているみたいだ。
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