恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
会社を出て、駅までの近道にと路地に入る。
ここを通ると徒歩6分が2分ほど短縮されるのだ。
朝は利用することが多い。


ふと、歩きながら背後に気配を感じた。

私は振り向く。

気のせい?
路地に私以外の通行人はいない。


歩いて、またしても気配を感じる。
かすかだけれど、足音がしたような。

再び振り向く。

逆光を背負った黒い人影が、すっと自動販売機の後ろに引っ込んだ。


やっぱり、誰かいる。

隠れたってことは、私をつけている?


私は踵を返し、早足で歩き出した。
もう振り返る余裕はない。


路地の出口まであと少し。
出ればそこは大通りだ。
人はたくさんいる。
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