恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
事情を話すと、寛は家まで送ると言って聞かなくなった。
勘違いかもしれないとも言ったが、無駄だった。

本音は、寛を伴って自宅に向かうのは気が引けた。
何が起こるでもないのに。
私は自意識過剰かもしれない。

私たちは言葉少なに、私の最寄り駅に降り立った。


「明日の朝、ミーティングするから」


歩きながら寛が言い、私は頷く。


「そっちは、来週の会議のレジュメ、まとまってる?」


「今、ダブルチェック中」


私の方は間に合ってないけど。
明日と土曜日を使えば時間は足りるはずだ。


「安田は体調平気?」


私は話をそらそうと、一番自分が嫌な話題を選んでしまった。

同時に一番気になっている話題でもある。



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