恋よりもっと。~トモダチ以上カレシ未満~
「体調って?」


「つわりとか、吐き気がするもんじゃないの?」


寛がああと合点がいったように頷いた。


「今のところ、大丈夫そうだな。これからなのかもしれないけど」


「ふぅん」


私は最高に興味なさそうな相づちを打った。
自分で話題を振っておいて、我ながら幼稚。

だって、寛の口調が気に入らない。
裏切られて、利用されてるのに、どうして何事もなかったように安田の話ができるんだろう。
夫婦になる覚悟を決めると、こうもさばけた思考になるのだろうか?


気付けば、私のマンションの前だ。

部屋まで送ってもらうつもりはない。


「じゃあ」


「琴」


不意に寛が私の右手首をつかんだ。
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