ただ、君の隣にいたいだけ
「・・・それでも、一番奮い立たせてくれる気がする」



目を軽く瞑り、その場所に触れた。ゆっくりと開けた私の瞳に映ったのは照れ笑いでピースサインをする亮輔さん。ああ、やっぱりこの人が好きだ。



だから振られてもすぐに諦めるなんてできない。指先でその写真をなぞる。好きだ、好きだ。だから彼を苦しめることはしたくない。



私が今日、落ち込んで練習に行かなければそれは迷惑を掛けることになる。それに練習を休むなんてそんな生意気出来るほど何も出来てなんていない。



殺陣も受け身も全然。こんな状態で練習に穴を開けてショーに出ようだなんてそれこそ亮輔さんに愛想を尽かされる。


恋は叶うことが出来なかったけれどせめて認められるくらいは努力しなくちゃいけない。そして、亮輔さんに褒めてもらいたい。



だから、私は涙を拭いて練習に行く。
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