ただ、君の隣にいたいだけ
「本当に、好きだったんだ。でも、確かに俺、ナイトグリーンに抜擢されてプレッシャーで彼女に対して連絡も出来なくなってたし、優先順位も練習だった」



「でも、そんなの最近のことでしょ?なんでそれが・・・」



「・・・彼女にさ、バイトと私どっちが大事なの?って言われて俺、何も言えなかった。彼女のことは好きだし、本当に大事だった。でも、バイトもすごい今は頭から離れないくらいで。ナイトレンジャー録画して毎日見るほど夢中になってる。でも、彼女からしたら『バイト』を選んだと思われたみたいでさ」



「選んでない。選んでないよ。なんでそんなこと言うの?ちゃんと話したほうがいいよ。どっちも大事だって」



「言っても無駄だよ。彼女はさ、元々アクターのバイトに理解なくてさ。儲からないのに時間だけ費やして挙句に優先順位まで奪うアクターのバイトを辞めてほしいと言われて喧嘩して別れるって言われた」



儲からないのに時間だけ費やして。その言葉はここにいるアクシーズを侮辱する言葉。頭に血が上り、口を開けばきっと私はノッポくんに暴言を吐く。罵倒する。

ここにいるみんなはいいショーを作ろうと必死になっているのに時間だけ費やしてなんて酷すぎる。



ノッポくんの頭を撫でていない片方の手を行き場のない怒りを掌に込めるようにきつく、きつく握りしめた。
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