ただ、君の隣にいたいだけ
料理が運ばれてきて食べながら話す。私はミートスパゲティで綾羽さんはシーフードグラタン。


綾羽さんの庄野くんへの気持ちを聞いていたら自分も言いたくて仕方がなくなってきてつい振られたのに、諦められない気持ちを話す。


綾羽さんは驚いた表情を浮かべ、グラタンを食べる手をピタリと止めてしまった。



「あ、綾羽さん?どうしたんですか?」



「振られたって、亮くんに?」



「・・・はい。キッパリと、気持ちには応えられないって。でも、未練がましく想いは変わらない、むしろどんどんと好きになってるんですけどね」



「・・・亮くんが振るなんて考えられないけどやっぱり恋愛より夢を取るのかもね」



恋愛より夢を取る。そっか。やっぱり亮輔さんには恋愛なんて要らないんだ。そうだよね。分かってた。分かってたし、伝えるつもりなんてなかった。


でも、観覧車でキスなんてするから。だから言わずにはいられなかった。



「ちょっと、花菜。大丈夫??ごめん、あたしが泣かせたのよね。でも、あたし亮くんは花菜のこと好きだと思う。それは見てて誰もがそう思うと思う。諦めないで思い続けてなさいよ。あたしの様にね」



失恋同志の拓馬くん。片想い同盟を結んだ綾羽さん。みんな、恋をしてる。私も変わらず亮輔さんに恋をしてる。


嘘つきな私。そばにいられるだけでいいなんて綺麗事。本当は亮輔さんの特別になりたい。きっとそれは叶わないことかもしれないけれどやっぱり好きだから。
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