ただ、君の隣にいたいだけ
「誰も聞いてないと思うけど。自分の子どもしか見てないだろうし。それに誘いたい時に誘うもんだろ?俺は今、花菜ちゃんとデートしたいって思ったから誘ったんだけど間違ってる?」



「えっ、いや、だ、だから・・・」




「拒否権ないよ。どうせ暇でしょ?花菜ちゃんの一日、もう貰うから」



肩にそっと手を置かれ、亮輔さんは耳元でそう言うとパッと離れて走ってきた明海を抱きとめた。


なんなの!やっぱりタラシ?女心のわからないタラシ?!あーもうそれなのに言い返せないし、完全に飲まれてるじゃない私。


あり得ない。まるで私のツボを重点的に突いてくる。本当、本当にこの人にうまく転がされそう。



「かなーっ、どうしたの?かお、あかい。ごはんたべにいこう」



か、顔が赤い?暑い、そう暑いから。頬が暑いのもきっとこのショッピングセンターの空調が効いてないからよ。


それに胸がドキドキ言ってるのは決してあの人のせいじゃない。こっちをそんな目で見ないでよ。




少し、意地悪そうででもまるで好きな人を見るような目で。
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