ただ、君の隣にいたいだけ
「えっ?」



「明菜からもおばさんからもいろいろ聞いてたし、幼稚園教諭志望だったって聞いて俺の仕事の話も聞いてくれるかな、興味持ってくれるといいなって。で、出来たら一緒に仕事が出来たらいいなって思った。花菜ちゃんとはよく一緒にファミリーパークに行ったから。まあ花菜ちゃんはちっちゃかったから覚えてないかもしれないけど。でも、俺、花菜ちゃんのハジメテもらっちゃったんだよね」



そっか、そうだったんだ。私が初めて異性と乗った観覧車。あれは、7歳だったかな。


私の誕生日、家族全員でファミリーパークに行ったんだ。私はずっと憧れていた動物の絵が描かれた観覧車に乗るって決めてた。でも、お母さんもお父さんも高所恐怖症で乗れなくてそのとき、優しい笑顔で「俺が乗るよ」って言ってくれた人がいた。


亮輔さんだったんだ。
なんで私、忘れてたんだろう。



「覚えて、ます。観覧車。一緒に乗ってくれましたよね?でも亮輔さんだっていうのは今、思い出しました」



「あの日はおばさんに誘われて俺と恵里奈もファミリーパークに行く予定だったんだけど恵里奈は風邪でさ、俺も恵里奈に悪いなと思ったから断ったんだけど明菜に付き合えって言われたんだよ。今日は花菜の誕生日で両親は花菜のそばにいてほしいからあんたが代わりに付き合いなさいって。だから一緒に行ったけど別行動だったんだ。でもさ、帰る間際に合流して花菜ちゃんがどうしても乗りたいって言うから一緒に乗ろうって言ったんだ」
< 53 / 231 >

この作品をシェア

pagetop