オトナになるまで待たないで

クモの巣らしきものが身体中にまとわりつく。


「やあっ…!!」

何かが顔にぶつかる。

分からない。

大きすぎるけど…

手で払った感じはクモだ。



虫だけじゃない。

暗闇の中に、もっと黒い何かがいる。


私を横目で流し見ながら、

階段を上がったり降りたりしてるのが分かる。



「うう…う…うう…」


口から泣き声がもれて、全身が震えた。


私、ちゃんと登ってるの…?

本当は堕ちていってるんじゃないの…?


これが自殺なんだ。


自分から生きるのをやめた。


本当の寿命がある場所まで登り続けないといけない。



真っ黒いものが立ち止まって、手を伸ばしてきた。


もう死ねないよ?

もう死ねないよ?

もう死ねないよ?

もう死ねないよ?

もう死ねないよ?
< 383 / 472 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop