涙色の空をキミに。
みんなに元気をもらった土曜日から2日経った、月曜日。
特に何も変化はなかった学校の1日も終わりかけの放課後。
まだ帰りの会が終わったばかりのクラスを急いで飛び出して、隣のクラスに走った。
…よし、まだ4組は帰りの会中だ。誰も帰っていない。
扉が閉まって中に人がいるのを確認して待っていると、すぐに教室から「さようなら。」という大勢の挨拶が聞こえて勢いよく扉が開く。
「…あ、」
たくさんの人が出ていく中、扉から教室を覗き込むと窓際の前から2番目の席に探していた人を見つけた。
……琉空。
クラスメイトと何回か挨拶を交わして、席を立った琉空が段々とこっちに近づいてくるのを見て少しだけ心拍数が上がったのがわかる。
…久しぶりに見た。ここ最近ずっと避けられていたから。
ドアまであと数歩のところでようやく顔をあげた琉空が私に気付いたみたいで目を見開いた。
「夢空、っ…どうしたの?」
「…琉空を待ってたの、話があるから。」
「…あの話なら、聞きたくないんだけど。」
あの話って、きっと今から私がしようとしている話だ。
…聞きたくない、なんてあからさまに拒絶されているけどめげずに、私よりも背の高い琉空を見上げる。
「琉空はこの前過去だって言っていたけど、心のどこかでまだどうでもよくないって思ってることも知ってる。…私だって琉空がこのままでいい、なんて思わない。だから来て。話だけでも聞いて。」
私が放った台詞に言葉を詰まらせた琉空の手を掴んで引っ張った。
ここじゃ人がたくさんいすぎて、何も話せない。
焦っている琉空を無視してズンズン美術室へ歩きながら手を引く。
慌てながらも大人しく来てくれた琉空を美術室の中へ連れて入る。
手を離してから、琉空と向き合うとぼんやりと繋いでいた右手を眺めていた琉空が私の視線に気づいて気まずそうに首に手を当てた。