涙色の空をキミに。










「…逃げてなんか、」







「違う、琉空は逃げてる。…琉空は怖いんでしょ?また誰かに愛されないのが。誰かが離れていくのが。…怖さから逃げてずっとずっと目を逸らしてるだけだよ!」









動きを止めた琉空が言葉をなくしたように目を伏せる。








怖いから、足が竦むのも、上手く前に進むのを躊躇うのも、全部分かるよ。








…でも、怖いのを理由にして逃げてたら何も変わんないって、前に教えてくれたのは琉空だ。









「…っ、違う!逃げてるわけじゃない、…だって俺は嫌われたんだ、探したところで何にもならないじゃないか…!!」







「それも逃げるための言い訳だよ…!ねえ、琉空…、逃げないでよっ…向き合ってよっ…。私だって琉空のこと助けたいんだよっ…!!」








私がそう言った途端、美術室に入ってから初めて琉空が私の目を見た。








揺れるその瞳が、私を移して微かに濡れている。








「…だってっ、わかんないんだ…っ、人の愛もっ…俺はどうやって笑えばいいかもっ…、全部わからないんだっ…。」









小さく掠れて震えた声で呟いた琉空の言葉は聞き取るのがやっとだった。









ずっと琉空が1人で抱えていた苦しみ。








本当に本当に辛そうに吐き出した一言は、この空気の中を沈んだ。










「…もう、いいだろっ…、放っておいてくれ…」









耐えきれなくなったのか私に背を向けて扉へと歩みだそうとした琉空に、大声で叫ぶ。









「逃げないでよ…!私に諦めるなって向き合えって教えてくれたの琉空じゃない…っ!また、失うのが怖いならっ…愛されないのが怖いなら、私が愛してあげるから!!何回だって何百回だって琉空のこと見つけるから!!琉空を1人になんて…、させないからっ!!」








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