冷酷な彼は孤独な獣医
龍は、あたしの目を真っ直ぐに見て話す。


「何度も確認しながら仕事をしているお前が、
あんなミスをする筈がない事だって、

牛肉なんかいくらでも買えるくらい金が入った財布を渡しても、
安い挽肉しか買ってこれないお前が人の金を盗んだりしない事だって、

嘘を付くのが下手な事だって………

俺が一番知っていた筈なのに………



本当に………悪かった」




龍はうつむく様に頭を下げる。


長い前髪が顔を隠し、その表情は見えないけれど、

龍の思いが痛いくらい胸に届く。





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