LOVE・ホテルに行こう。
「何かあったの?」


「何もないよ」


マンションのエレベーターに乗り、ボ~ッとエレベーターの矢印を見てた。


「なら、いいけど」


田村君の話しを相槌するだけの私。
これだけ沈み込んでる私を不思議に思わない訳ないよね。
気持ちを切り替えて明るくしなくちゃね。


部屋のドアを開けて田村君が私を待っていた。


先に私から入る。


カチャッとドアの鍵を締めた音がして感情が溢れ出す。
振り向いて田村君を抱き締めた。


「…美久」


問いかけるように名前を呼ぶ田村君。


バッグを落として田村君の首に両腕をまわす。


ドサッと音がして田村君が私を抱き締めた。


どれくらいだっただろう。


キスをしてた。


ただ、キスをしてた。


そこに好きとか嫌いとかの感情なんてない。
ただの男と女になる。


ベッドで重なるのは自然の流れだった。


露になった肌を恥ずかしいとか思うことなく求めあう。
見つめる田村君が私に声を掛けることもない。
ただ体を求めあう。
そこに好きとか嫌いとかなくていい。


…人肌恋しいだけだから。


なのに優しく私の頭を撫でてるのはなぜ?
田村君が滲んで見えるのはなぜ?


悲しそうに私の顔を見つめ頬に指が触れる。


抱き起こしそっと抱き締める田村君は悲しいくらい優しかった。


そうだね。


…ズルいのは私だね。


だから優しくしないでいいんだよ。
















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