LOVE・ホテルに行こう。
「…美久には俺がいるから」


耳元で田村君の声がする。


「俺の前では我慢しなくていいから」


トントンと軽く叩く背中。
頬を伝う涙が止まらない。


私は泣きたかったのかもしれない。
泣くことを忘れてた。


春人と別れた後も泣く事はなかった。
別れ話を当然のように受け入れ頭では納得してたから。


流れる涙は心を落ち着かせる。
私の中にあった寂しさを一緒に流してくれる。


トントンと軽く叩く背中の手が温かいから。


「…田村君…ありがと」


「うん」


「もう大丈夫」


「…美久。…2人の時は圭吾がいい」


「…うん。‥圭吾…ありがと。私、もう大丈夫だから」





「………………ッ。…俺は大丈夫じゃないっ」


「えっ」


体を離して田村君を見る。


ハッッ…。


目の前に田村君の裸。
…と、丸見えの男性そのもの。


「もう~、どうしてそうなるのよっ」


慌てて目を反らし田村君に抗議をする。


「自分だってそんな格好してよく言うよ」


自分の姿を確かめる。


素っ裸。
辛うじて薄暗かった部屋の灯り。


目の前の田村君が私を見てる。慌てて手で隠す。


「ちょっ、見ないで。あっち行って」


「それは無理っ」


キスされて倒される。
あっさりどけられた私の手に指を絡めて


「二回も美久に襲われて男のプライド、ズタズタ。…責任取ってね、美久ちゃん」


そう言って笑う顔は何か楽しんでるみたいで。


だからその笑顔は反則だよ。
すんなり受け入れる私がいた。






















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