短編集‥*.°


…意味はないとわかっていて、雲に問いかけた。



「あんたって、ウサギ?馬?…なに?」



…返事は返ってこない。まぁ、当たり前だ。「〜だよ」なんて返ってきたら、私は自分の精神を疑う。


…どっちでもいいか。なんだっていい。例え何だとしても、雲は雲であって、その事実は変わらない。

自分がこうだと思っていても、他人はそうは見ていないなんて、よくある話。そこらじゅうに溢れている。



「…あ」



雲が風に流されて、形を変えていく。とても、雲らしい形になる。…シックリくる。

やっぱり、雲は雲。周りになんて思われようと、雲は雲だ。それ以上でも、それ以下でもない。


──無理に形を作る必要なんて、ない。





─ ─ ─ ─ ─ ─


キーンコーン。チャイムが鳴る。初めての無断欠席。自分は真面目じゃないと、証明するための。

あの雲は、すでに遠くへ遠くへと、流されていた。今は何になっているんだろう。


時にはわたがしに、時にはウサギに。自分のなりたいものに、自由に形を変えて。
…雲のままで。


…大丈夫。


周りになんと思われていてもいい。
自分のイメージと違ったって、いい。





私は、私なのだから。





立ち上がって、大きく伸びをする。うんと空に手を伸ばす。



「…よし」



ドアノブに手をかけると、私は、屋上をあとにした。


            —完結—

久しぶりにノートに書いた物語です。
最近、なんか色々な事で悩んでて…。
で、不意にこの物語を書きました。
物語を書くと、なぜかスッキリして。

周りの思う自分と、自分の思う自分。
どちらも自分なんだから、あまり
気にしない方が良いですね♪( ´▽`)

…て、長文になっちゃいました(笑)
趣味度、89%くらいです。

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