短編集‥*.°
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「あら、どうしたの?」
保健の早川先生に事情を説明すると、
苦笑いしながら、
速水くんソックリの人を
治療してくれた。
正直、ここに居る意味はないけど…
…なんか、罪悪感がある。
…そういえば、かなり不謹慎だし
失礼だし反省すべきなんだろうけど…
…まるで、この展開。
『桜風』みたい…
最初、琴音ちゃんが速水くんに
肘鉄をくらわせて、
保健室に連れていく。
…まさかね。
ここは現実だし、私は本当にこの人に…
き、危害を加えたんだし?
ワザとじゃないけど。
違うけど…
「早川先生!職員会議が…」
ガラッと保健室の扉が開いて、
見た事のある先生が駆け込んで来る。
…どなた?
「あ、そうなんですか…
ちょっと席外すね。山春さんも、
気が済んだら教室に行きなさいよ」
…え、早川先生…
まさか、出て行く気?
案の定、早川先生は出て行った。
…え、てことは、わ、私…
…この人と、二人きり──!?
その人は、
ベッドに寝転んで右手で顔を覆ってる。
話を聞いたのか、
忙しなくソワソワ動いてる。
「…」
「…」
きっ、気まずい…
なんか喋らないと、
逆に失礼…だよ…ね…
「…あっ、あの!」
「…なに」
うっ…
謝ろうとしたけど、
声がかなり不機嫌そうで…
ますます謝り辛い…
頑張れ、頑張るんだ私!
「あの、すいませんっ!」
「…は?気持ちこもってない」
…は?