短編集‥*.°
いつもだ。
瀬川 瑠美。
秋也と幼馴染らしいけど、名前を呼び捨てにしたり、普通に触れ合ったりして笑いあっている。
本当になんなの?
見せつけなのだろうか。
イライラしていると、不意に__封筒を握りつぶしてしまった。
「あっ、秋也からかもしれないのに!」
急いでシワを伸ばす。
そして…。
びりっと開けた。
秋也からかもしれないと思うと、待ち遠しくて堪えられない。
さっさと開ければ良いだけの事なんだから。
そして開けてみて、入っていたのは…。
これまた、ムスクのとても良い香り__秋也の匂いがする一枚の真っ白な便箋だった。
そこに書かれていた物を読む、と…ね?
『楠木 真音さんへ』
と、見慣れた文字で書かれていた。
…あれ、この字…。
私が、秋也のノートをこっそり引きちぎった時に見えた文字と似てる。
いや、ソックリだ。
まさか、まさか、これ…。
秋也、から__?
先を読んで行く。
『…中学三年の時から、真音さんの事が好きでした。
放課後、屋上に来てくれませんか。
俺はいつまでも待っています』
…そして。差し出し人の欄には、こう、書かれていた。
__『春谷より』
春谷、秋也。
秋也からだ…。
嘘でしょ?
こんなに、平凡な女子に。
放課後の屋上!?
何が何でも遅れない。
絶対に!
そう意気込んでいると、沙羅が私の顔を覗き見てきた。
「…どうしたの?真音。ちょっと…顔が…怖い、よ…?」
私は一言、笑って
「そうかな?」
と言った。