短編集‥*.°
そんな秋也なら、私の純粋な愛も受け止めてくれるはずだよね。
…っと、そうだ、用事を思い出す。
…秋也に、昨日の事を聞かなくちゃ。
私は瀬川と喋ってる秋也に駆け寄った。
「ね、春谷くん…。話があるんだけど」
「…え?…楠木か。なに?」
ほら、空気読みなさいよ馬鹿女!
でも瀬川は秋也から離れる様子はない。
ムカつくぅ!
「ちょっと人に聞かれたくないから…」
ほら、早く消えなさいよ瀬川!
「あ、じゃあ私は行くね〜」
そう言うと、瀬川は校舎の中に入って行った。
そうそう、それで良いの。
秋也はあんたなんかには似合わないんだから。
私は普通女子だけど、運命の糸で繋がってるんだから…ね?
「…じゃ、行こうか」
秋也が少し嫌そうに私にそう言った。
…どうして?
私と一緒に居られるんだよ?
なんでそんな嫌な顔するの…?
あぁ、そうか、瀬川が鬱陶しかったんだね。
やっと秋也の嫌な顔の意味を理解する。
瀬川うざったいもんね。
大丈夫!
後でコロスからさ!
歩きながら思っていると、秋也が面倒くさそうに言った。
「で?話って何?」
体育館裏…。
小雨が降っている。
ま、誰も居ないし良いか。
「…昨日の、事なんだけど」
「…は?昨日の事って何?」
え、覚えてないの?
ラブレターだよ。
「え、私にラブレターくれたでしょ?屋上に来いって…」
「はぁぁ??俺が楠木に?…悪いけど覚えがない。誰かが楠木をからかってんじゃねえのかな?俺じゃねえよ」
秋也が…。
いかにも嫌そうに言う。
苦虫を噛み潰したような表情。
ウソ…。
秋也じゃ…ないの…?