短編集‥*.°

「…え…?」

「ま、そう言うのあんまり信じねえ方が良いぞ。あと…付き合う気ねえから。ごめんな」

付き合う気が…ない?

そんな、おかしい、運命の赤い糸で、小指をギュッと結ばれているんだよ…?

指が千切れるくらいに…。

気づけば私は、ポケットに手を入れていた。

いつも私がポケットに入れている物を、右手でつかむ。

「ね、春谷くん!待って!」

秋也が…。

面倒くさそうに振り向いて

「ん?なんだよ…!?」

あの綺麗な黒い目を見開いた。

「秋也…」

キラリ光るカッターナイフを振りかざす。

「…え、は!?おま、ふざけん…」

「一緒に死のう、秋也」


あと少し…。

あと少しで秋也は私と結ばれ…。

「あれ?楠木さん、秋也…。なにしてるの?」

耳障りな声が聞こえた。

あの声、まさか!

「ばっ、瑠美、逃げろ!」

…ふん、やっぱり瀬川だ。

なら、瀬川が…。

先にシネ!

私は瀬川の方に走って行った。

瀬川が間抜けヅラをさらしている。

カッターナイフが輝く。

「死ね!」

__鮮血の血飛沫が舞った。

うん、やっぱり…。

赤い雨と水溜りは、綺麗だ。

紺色の制服がもっと深くなっていく。

「瑠美!!瑠美!?」

秋也が叫んでる。

あんなクソ豚の心配なんかいらないよ。

私ダケをミテ…?

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