願い事叶えます




「…罪な男ですねえ」





2週間前の出来事を思い出していたケンはその声にはっとなった



今一番聞きたくない声だ




「お前…!」




ケンはホシを見て思いっきり顔をしかめた




「さあ!晴美さん…!

邪魔者は今誰一人いません。

あなたの気持ちを伝えるのです!」



ホシのその言葉に励まされたのか晴美は大きく頷き、ケンに向き直った




「本井ケンさん…!!

あの時わたしを救ってくれたこと、本当に感謝しています…!

それでわたし、その時からあなたのことが忘れられないんです。

あなたはわたしのこと覚えてないみたいですけど…。

も、もしよかったらわたしとその…お付き合いとか…!」




ケンはそこまで聞き微かに目を見開き、そしてため息をついた



「やめた方がいい」



「へ?」



顔を赤くした晴美はケンの言葉にぽかんとした




「おれは誰かを幸せにするとかできねェ。

あんたの為にもおれはやめた方がいい」



「え、でも…」



「おれはあんたが思っているような人間じゃねェ。絶対にうんざりすると思う」



「それでも…」



ケンが言っても晴美は諦めなかった





だってこの人わたしのこと考えてくれているから



少しは




少しは可能性がーーー





「わたし…!」



「わかった。じゃあこう言う。


あんたとは付き合えない。断る」







はっきり言われた




晴美は俯いた






分かってはいたけどやはりつらい







ケンは俯いている晴美に軽くお辞儀をしてその場を去っていった
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