願い事叶えます







「ホシが兄ちゃんを頼ってくれるのは嬉しいけどな」





ツキはそう言いながら窓を開けた









「あんまり、同じとこに留まると嗅ぎ当てられるぞ」







ツキが怪しく笑いながら言ったその時、どこからか獣が飛び出してきた






その獣は頭は立派な鬣を持つライオン、


胴は虎、尾はトカゲだった










これが…





「従獣…?」



ケンが思わず呟くとツキはにっこり笑った






「御名答」







その獣はゆっくりと部屋の中を見渡し、ケンに目を止めた






ケンは思わずぎょっとして後ずさった






獣が、牙を見せつけるようにがっと口を開いた




「う…!」



「こら。マロ。駄目だろー?怖がらせちゃ」




マロと呼ばれたその獣はケンが驚いたのを見るとくつくつと笑っていた







「名前と顔がミスマッチ…」




「じゃあおれは帰るぞ。ホシ。

寂しくなったらいつでも来いよー」




「行きません」





兄の言葉に即座に返したホシにツキはがっくりと肩を落とした





「マロぉ聞いたかー?

昔はよ、『お兄ちゃん!お兄ちゃん!』って抱きついて、

『しょうらいはお兄ちゃんのお嫁さんになるのー!』とか言ってたのに」




「そこまで申したことはないと思います」





マロが未だにケンを見ながら言った












喋るのかよ…








ケンがそう思っていると、ツキはマロに騎乗した




「じゃあな!ホシ。それと…ケンタロウ!」






ツキがそう言うと、マロは窓から飛び降り


空を駆けるように空を飛んでいき

やがてその姿は見えなくなった











1つ、言っておくが





おれの名前はケンタロウではない





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