願い事叶えます
嫉妬








ツキが去っていき、その姿が見えなくなった頃ケンは口を開いた








「…なあ…お前の兄貴ってまさか…」









ホシが以前言っていた



従獣は魔法界を統べる神の従者だと…










その従獣がツキを乗せて飛んでいった






つまり








「私の兄様は一応、肩書きは魔法界の神、ということになっています。

まぁ本当はただの魔法使いで神というのは称号なんですけど」





ホシは肩を竦めて言った






「お前…とんでもない奴が兄なんだな…」



ケンは若干引き気味に言った




彼が魔法界の神と言われているならば、

彼がさっき言っていたことについて納得がいった



反逆か、と尋ねたことも


ホシが万が一の時は兄に何とかしろ、と頼っていたことも


兄が自信ありげに自分なら何とかできる、と言っていたことも









「あんな奴が神とかでいいんだな…。世の中理不尽だ」




「ええ、まったく」





本人がいないのを良いことに2人揃って言いたい放題だった




「もしかして…ケンさんまだ聞きたいことがあるんじゃないんですか?」



ホシが微笑を浮かべながらケンに尋ねた





確かに、聞きたい事は山程ある



何故あのときのお前の目の色は変わった?



嗅ぎ当てられるって誰に?


あの時の事を引きずってるって、一体お前に何があった?





だけどそれらの事を聞きたい衝動を必死に押さえケンは首をふった




そんなケンを見てホシは優しげに微笑んだ




「そんなに無理しなくていいのに。

1つ教えてあげましょうか。


感情には色があるんですよ。私の場合それがとてもよく表れます」




「つまり…どういうことだ?」



「ケンさん私の目をさっきから伺っているので、きっとさっき私の目の色が変わったでしょう?

赤は怒り。つまり私はあの時すごく怒ってたってことです。分かりやすいでしょう?」



ホシに聞かれケンは大きく頷いた




確かにとても分かりやすい












これからは彼女の瞳の色には十分気を付けよう



















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