願い事叶えます





(もう…助からないよ…こんな病気見たことないってお医者様も言っていた…)



(まだこんなに小さいのにねえ…)



(母親はショックで倒れてしまったんでしょ?)



(じゃあもし、本当に死ん…)


(しっ!そんなこと言って、もし聞こえたらどうするんだい!

この家にはまだ兄がいるらしいじゃないか)



(兄は結構もう、大きいんだろ?)


(兄が母親を支えてくれるさ)



(父親は?)



(さあね…。随分前に別れたって話さ)







黙れ



うるさい




やめろ














誰もが妹の病気にお手上げ状態だった



今までに見たことがない病気





薬も治療法もない






ただ死ぬのを待つだけ…




周りの大人達はまだ生きている妹を既に死んだように見ていた





やめろ



まだ生きているじゃないか




(おにい…ちゃん…)



(大丈夫。お兄ちゃんが必ず治してやるから)




(うん…)













そうだそういえば昔祖母が話してくれた




この世にはどんな病気も治せる薬があるんだよ、と





(その薬はね…人間の世界にはないのさ…。別の世界にあるのよ)



祖母が楽しそうに話すのを、見るのが好きだった





だけど人間の世界にはないなんて…







ならば




探しにいく





必ずその薬を持って妹のもとへ









(じゃあ…おばあちゃん。その薬がある場所にはどうやっていくの?)



小さい頃祖母に尋ねた何気ないこと




ただの物語り


フィクションなのに



今それを試そうとしている




(強く、強く、強く念じるのよ…。

おばあちゃんは何度やっても駄目だったけど、ジャックなら出来る。


強く…強く…そうすればお前の前にその世界に行く扉が開くだろう)














強く



強く




強く



念じた














開け
< 82 / 100 >

この作品をシェア

pagetop