彼とほんとの私
話の後、私は自分の部屋にこもって泣いた。


実の父親の死。


実の母親の居どころは分からないこと。


自分は相田愛実だったということ。


すべてをすぐに受け入れることは難しい。これから、一体どうしたらいいのかさえ分からない。






しばらく泣いた後、会社に復帰することを伝えてなかったことに気付いた。家で両親と顔を合わすのは辛い。せめて、仕事をすることで気を紛らわせたかった。


涙を拭いながらバックの中の携帯電話を取ろうとした時、智史がなかば強引に置いていった名刺とメモが目に入った。


両親に不信感を持ち始めていた私は、何も関係ない智史にならこの事を相談できるのではないかと考えた。


私は、少し迷った後、メモに書かれている電話番号を押していた…。

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