彼とほんとの私
その後、看護師は拓海君親子を帰し、結衣も廊下の長いすで待つように指示した。


「斎藤さん、あなたは頭を強く打って、搬送されてきたのよ。治るまでここで安静にしてもらう必要があります。身内の方にはあなたのお友達が連絡したそうよ。付き添いは必要ないけど、身の回り物は必要ね…」


私は、ぼんやりとその説明を聞いてたが、ふとあることに気づいた。


血液型A型


看護師から渡してもらった書類には確かに、そう書いてあった。


「…あの、この血液型って本当ですか?」


私は、おずおずと聞いてみた。


「ええ、間違いないわ」

看護師は、きっぱりと言った。


私の両親の血液型はO型だったはず。O型同士の親から、A型の子は生まれない…



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