カメカミ幸福論


 ・・・こりゃあ、眠れるわね。

 私はうーんと両手両足を伸ばしてそのあと力を抜く。・・・ああ、気持ちいい。

 風が緑を揺らして通り過ぎていく。

 隣の運動広場からは、盛り上がってるらしい社内運動会の歓声と声援、それから放送。騒がしいけれど、風に運ばれてくるそれは子守唄に聞こえなくもない。

 いいや・・・しばらく、私は休憩~っと。

 目を閉じてキャップを顔に被せる。こう眩しくっちゃ、眠れやしないじゃないの・・・。

「ムツミ」

 太陽って本当に眩しいわ。帽子の中にまで、光が入ってきてる・・・。

「ムツミ~」

 キラキラキラキラ・・・。

「お~いってば、ムツミ~」

「・・・」

 ん?

 私はパッと目隠しにしていた帽子を顔の上から退けた。

「こんなところで寝ていていいのか~?あの男が今、走ってるぞ~」

 ダンがいた。


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