カメカミ幸福論


 それに戸籍もないし、第一こいつは私以外の他人には見えない・・・・。チッと思わず舌打をしてしまった私だった。役にたたねーな、ほんと。

 うんざりしてぐったりと寝そべる私に、ダンが嬉しそうな顔でにっこりと笑った。

「早く行こう、ムツミ!お前が会社以外のところへいくのは初めてだな~」

 遠足の言葉を聞いた子供のような反応だぜ・・・。私は結局、迷惑な神に引き摺られるように早めに実家へいくことになってしまった。



 私の実家はほどほどの郊外にある。なんてことない普通の家。だけど高齢で兄弟姉妹の多かった祖父を引き取っているということで本家のような扱いをされていた。

 親戚一同が正月に集まったりとか、そんな感じだ。うちは父と母、それからオタクの兄貴が一人、それから私の4人。その我が家の子供である兄貴と私は、30を越えても二人とも独身なのだった。

 それを、親戚一同にネチネチいびられる日、でもある。・・・一応訂正しておこう。親戚その他はいびっているつもりはないに違いない。ただ、私と兄貴の行く末を心配して、のことなのだ(と、毎回親が言う)。

 だけど、本当に鬱陶しいものなのだ。

 だからきっと兄貴も渋ったはずだ。来るだろうけれど、きっとかなり嫌そうな顔で帰省するはず――――――――――


「睦~!お帰り~!」

 玄関で、派手な歓迎を受けた。飛び出してきたのはうちの母親と従兄弟の子供ら。ぎゃあぎゃあわあわあと喧しく、チビ達は私の持参したお土産をつかみとって家の奥へと駆け出していく。・・・クソガキ共め。


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